「スタートアップ・ベンチャー企業に転職をしてみたいけれど、給与水準を大きく落としたくはない」という想いの方は多いのではないでしょうか?
特に現職で1,000万円を超えるような年収の方は、せめて1,000万円ラインを守りたいという感覚は強いものです。
一般的には、大手企業ほどの給与を出すことが難しいと言われるスタートアップですが、それでも年収1,000万円を確保することは可能です。
- スタートアップの成長フェーズ(資金調達ラウンド)ごとの特徴と期待できる年収レンジ
- シード期やアーリー期であってもCxOポジションであれば年収1,000万円を狙えるが難易度は高い
- シリーズB資金調達を終えているミドル期以降であれば、マネージャーやスタープレーヤー以上でも年収1,000万円を狙える可能性がある
この記事を書いているKENは、
- 大企業からスタートアップに転職をしてCFOロールを含めたコーポレートの責任者を経験しています
- 年収1,000万円以上の採用を複数実施してきています
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私自身も年収1,000万円超をスタートアップ転職で維持(下がりはしたものの)!
スタートアップて転職における年収1,000万円の世界を現場のリアルを交えて解説します。
年収1,000万円以上はサラリーマンの5.5%
そもそも、年収1,000万円というのは給与を受け取っているサラリーマンの中でかなりのハイレイヤーであり、希少な存在です。
とは言え、どのくらい希少なものなのでしょうか?
国税庁の「令和5年分 民間給与実態統計調査」によると、年収1,000万円以上である人は、全国の給与所得者5,076万人のうち、279万人であり、5.5%に相当します。
5.5%というのは、18人のうち1人に該当しますので、思ったよりも、高い数字ではないでしょうか?
当然のことですが、この5.5%というのはあくまで全体平均になりますので、実際には、年齢、職種、業種、企業の規模などの要素によってバラつきが出てきます。
それでも、年収1,000万円というのは、しっかりと届く人には届く水準であると言えます。
スタートアップは資金調達シリーズごとに年収レンジが大きく異なる
大企業に比べるとスタートアップ・ベンチャー企業はヒト・モノ・カネの資源が不足していると言われています。
一方で、スタートアップは革新的な技術やサービスを生かして急成長をするため、ベンチャーキャピタル等の投資家から多額の資金調達を行い、さらなる事業成長のために、先行投資を積極的に行います。
そして、その先行投資の最たるものが「ヒト」であるため、優秀な人材の採用に調達した資金を投下していきます。
大きな資金調達に成功をしたスタートアップの年収が大手企業を超えることもあります。
実際にそのようなニュース記事が日経新聞でも出ていました。
日本経済新聞社が実施した2023年の「NEXTユニコーン調査」によると、正社員の年収を開示した78社の23年度の平均見込み額は前年度比6%増の710万円だった。700万円超えは調査開始以降初めてで、上場企業を上回る水準だ。
引用:日本経済新聞社
なお、NEXTユニコーン調査の対象となるようなスタートアップは、原則的には成功をしているスタートアップ企業となりますので、ポジティブバイアスがかかっています。
創業直後のスタートアップも含めた、スタートアップ企業全体の平均値が上場企業を超えているわけではありませんので注意が必要です。
それでは、スタートアップの成長フェーズ・資金調達シリーズごとの採用可能な年収レンジ目安がどのようなものなのか、それぞれ見ていきましょう。
①創業からシード期
創業直後から初期プロダクトの原型となるMVPができ、PMFを達成できるまでのフェーズをシード期と呼びます。
横文字がいくつも出てきたので、順番に説明をしていきます。
まず、ひとつめのマイルストーンである、MVPですね。
MVPとは、Minimum Viable Productの頭文字をとった略称で、日本語では「実用最小限の製品」という意味です。MVPは、顧客に価値を提供できる必要最小限の機能を持ったプロダクトを提供し、顧客のフィードバックを得て、それをプロダクト開発に活かすという考え方・手法です。
引用:日本財団 | スタートアップ支援プロジェクト
スタートアップは新しいプロダクトやサービスを開発して提供をすることが一般的です。いきなりおおがかりなプロダクトを作るのではなく、試験的にそのプロダクトにニーズがあるかどうか、仮説検証をするための試作品のイメージです。
MVPを作って仮説検証を繰り返しながら、顧客がお金を払ってでも使いたいという状態を実現するのが、ふたつめのマイルストーンである、PMFです。
PMF(Product Market Fit)とは、ざっくり言うと自社のプロダクトが顧客に支持されている(深く刺さっている)状態のことをいいます。起業したら、誰の、どのペインを解決するかを決め、次にそのペインを解決するためのプロダクトをつくります。ここで顧客がお金を払ってでも使いたい、いつまでも使い続けたいと思うような、顧客に深く刺さっているプロダクトができることをPMFといいます。
引用:GLOBIS
MVPを作りながらPMFを目指すシード期のスタートアップは、数人~20名程度の規模で、プロダクト作りのためのソフトウェアエンジニアが中心となります。必要な資金も限定的であることから、シード資金調達ラウンドでの資金調達額は数千万円~一桁億円前半が主流です。
シード期のスタートアップの年収レンジは数百万円の後半程度までですが、ストックオプションがその分多めに出やすい傾向にあります。
②アーリー期
PMFを達成し、顧客に深く刺さるプロダクトができたとしても、それだけで事業が勝手に成長していくことはありません。
潜在顧客にプロダクトを認知してもらうためのセールス・マーケティング活動が必要になりますし、実際にプロダクトの使い方を学び習熟してもらうための、オンボーディングやカスタマーサクセス活動も重要となってきます。
これらの活動を経済的なコストで実現する目途を立てること。つまり、スケーリング(事業規模の拡大)のための仮説検証を繰り返していくアーリー期に突入していきます。
スケーリングの仮説検証のためには、いままでのソフトウェアエンジニア主体の組織から、セールス・マーケティング、オンボーディング、カスタマーサクセスといった組織の機能拡大をしていくため、組織規模も数十名規模であることが一般的となってきます。
アーリー期の企業は、シリーズA資金調達ラウンドを経て、これらのスケーリングに向けた仮説検証のための組織拡大のための資金を確保します。調達額は一桁億円から二桁億円前半が主流となります。
アーリー期のスタートアップの年収レンジは、シード期から若干のプラスはあれど大きな変化はなく、数百万円の後半程度までとイメージしておくのが良いでしょう。
③ミドル期
スケール化に向けた試行錯誤を繰り返し、マーケティング・営業・カスタマーサクセスといった販売体制を構築し、再現性を持って売上拡大を狙える状態を確立します。
つまり、人を増やせば売上が増える。かつ、規模の拡大をすることで黒字化を見通すことができるだけの販売効率を実現できていることが重要となります。
ここまでくると具体的なスケール化(グロース)に向けて、さらに組織規模を拡大することとなります。社員数が100名を超えてくるのもミドル期のスタートアップの特徴です。
これらの急激な組織拡大を支えるのがシリーズB資金調達ラウンドです。調達額は二桁億円の前半から半ば程度までが主流となります。
ミドル期のスタートアップは積極的な組織の拡大期にありますので、組織マネジメントの経験が豊富なマネージャー層の採用のために年収レンジを引き上げる傾向にあります。
つまり、シード期からアーリー期は、立ち上げを中心としたゼロイチ(0→1)が得意な人材が中心でしたが、事業のスケール化(グロースフェーズ)にあたるミドル期においては、イチジュウ(1→10)が得意な人材の活躍のタイミングとなります。
大企業やメガベンチャーなどから組織拡大をけん引してきた人材を採用するために、一定の競争力のある年収が提示されることが増えてくるため、部門長クラス(チームマネージャーを複数名束ねるようなマネージャーのマネージャークラス)であれば1,000万円を超えるオファーも出るようになります。
ゼロイチ(0→1)は何もないカオスの状態から新しいものを作り上げる、まさに0を1にするような仕事。イチジュウ(1→10)はすでに土台があるものを型化して大きく成長させる仕事。スタートアップの成長フェーズの変化とともに、活躍する人材のタイプも変わっていくことを表す用語。
④レイター期
スケール化が進むと、競争優位性の構築や更なるスケール化、事業の多角化などに向けて組織の成長が継続していきます。
事業責任者や執行役員などの経営人材の強化が進み、成功しているスタートアップであれば、年収2,000万円を超えるようなオファーも出てきます。
部門長クラスのみではなく、チームマネージャークラス(いわゆる数名のメンバーが所属する組織を束ねる管理職)でも年収1,000万円を超えるオファーが出てくることもあります。
これらの先行投資としての人件費をカバーするためにシリーズC資金調達ラウンドが行われ、資金調達額は二桁億円が主流となります。これ以降、発行する種類株式の名称に応じて、シリーズDやシリーズE資金調達ラウンドと続くこともあれば、IPOを経て上場企業となっていくケースもあります。
スタートアップで年収1,000万円以上を実現できる2つのパターン
スタートアップ企業のことをしっかり理解し、正しい見極めをすることで、スタートアップにおいても年収1,000万円を実現することは十分に可能です。
ただし、誰にでも可能というわけではありません。そもそもの年収1,000万円というハードル自体が高いものですし、スタートアップにおいてそれを実現するには、ざっくりと、下記の2つのパターンに大別されます。
- CxOとして参画
- シリーズB資金調達を完了しているミドル期以降のスタートアップでマネージャーもしくはスタープレーヤーとして参画
①CxOとして参画
前述の通り、シード期やアーリー期において、年収1,000万円以上のオファーが出ることは稀です。
その例外にあたるのが、CxOレイヤーです。CxOとは下記のようないわゆる経営幹部のことです。
- CEO(Chief Executive Officer):最高経営責任者
- COO(Chief Operating Officer):最高執行責者
- CTO(Chief Technical Officer):最高技術責任者
- CFO(Chief Financial Officer):最高財務責任者
- CSO(Chief Strategy Officer):最高戦略責任者
ただし、多くのスタートアップにおいて、創業者がCEOもしくはCTOを兼ねていることが多く、また必ずしもこれらのCxOを全て配置することが必須なわけではありませんので、どのポジションが外部からの採用によって充当されるかはケースバイケースとなります。
また、かなりの要職となりますので、株主であるベンチャーキャピタルからの見られ方や、社内の既存メンバーからの受け取られ方などにも気を配る必要があります。
他のスタートアップで同様の役職で十分な結果を残した実績があることが望ましいですが、それがない場合には特に、いきなりCxOの役職を与えるのではなく、実質的な「候補」としてまずは入社してみて、半年から1年程度のパフォーマンスを見たうえで満を持してCxOに昇格という形が多いです。
ただ、そうであっても、実施的な候補であれば、年収1,000万円以上のオファーが来ることも十分にありますので、
「シード期やアーリー期のスタートアップで働きたい」
AND
「年収1,000万円以上を確保したい」
という強いこだわりのある方は、自分がCxOとして株主のベンチャーキャピタルや創業メンバー(もしくはそれに近い古株メンバー)から認めてもらえるだけの経歴やスキルがあるかを棚卸してみてください。
②シリーズB以降でマネージャー以上の就任
「さすがにCxOを狙えるほどではない」という方にとってより現実的なオプションは、シリーズB資金調達ラウンドを終えているミドル期以降のスタートアップ企業に的を絞ることです。
ミドル期で部門長クラス(マネージャーのマネージャークラス)もしくはシリーズC資金調達ラウンドを終えているレイター期でマネージャークラスであれば、年収1,000万円以上のオファーが来る可能性があります。
また、管理職でなかったとしても、例えば、トップセールスやテックリードのようなスタープレーヤーであっとも同様に年収1,000万円以上のオファーを期待できる可能性があります。
どちらであっても狭き門なので優秀なガイドは必要
スタートアップ企業の中でも、ミドル期までフェーズが進んでいるスタートアップは多くありません。そもそも、シード期にMVP開発までたどり着き、さらにPMFを実現すること自体が非常に難易度の高いことなのです。
いままで存在していなかった新規性の高いプロダクトを開発し、ベンチャーキャピタルから資金調達をしながら開発を続けて、顧客がお金を払ってでも使いたいと思えるレベルまでプロダクトを仕上げることは並大抵の努力ではなしえないのです。
そこからさらに、いままでプロダクト開発だけに特化していた状態から、マーケティング、セールス、カスタマーサクセスといった販売活動の体制づくりに組織機能を拡充させ、かつ、それを将来的に黒字化を見込める効率性の中で実現する必要があるという制約付きです。
繰り返しとなりますが、スタートアップにおいて年収1,000万円を達成できるのは下記の二つのパターンのどちらかです。
- 経営レイヤーであるCxO
- ミドル期までたどり着いた、成功している希少なスタートアップにおけるマネージャーやスタープレーヤー
どちらのケースであっても、そもそも採用の枠自体が限定的です。また、年収が高い分だけ、求められる期待も高いです。そのぶん、各スタートアップのカルチャーや求める人物像・スキルセットの十分な理解がないまま進んでしまうと、あとから双方が不幸となってしまう可能性も高いポジションです。
これらの希少のポジションを採用しようとしているスタートアップ側の情報を緻密に理解しており、あなたの経歴やスキルを踏まえたうえでしっかりと活躍できそうなところへのマッチングが必須です。
理想的には、そのスタートアップに知り合いがいて、紹介をしてもらえるような、いわゆる、「リファーラル採用」がスタートアップ転職にはベストです。
知り合いを通して、そのスタートアップのリアルな情報を事前に確認できますし、知り合いから見ても、あなたがそのスタートアップにフィットするかを確認してもらうことができるのでミスマッチのリスクを減らせます。
ただし、リファーラル採用は、同僚や部下を採用する場合に多いパターンですので、知り合いがよっぽどの経営レイヤーにいない限りは実現しにくいです。
次に頼れるのは、スタートアップ転職支援のプロである転職エージェントでしょう。
転職エージェントは、スタートアップ側から「こんなポジションの募集を始めるので、こんな人材の紹介をして欲しい」という依頼を受けていますので、対象企業やポジションのことを熟知しています。
転職エージェントは候補者を紹介し、転職が実現した場合に、転職先の企業から成功報酬として手数料をもらうことが基本となっていますので、転職者は無料で活用できるので安心です。
ぜひ、身近な転職エージェントに相談をしてみてください。
もし転職エージェントとのお付き合いがまだないようでしたら、こちらにスタートアップ転職に強い転職サイトと転職サイトをまとめてあります。


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