- スタートップ・ベンチャーで働いてみたいけど、周りからやめたほうが良いと言われてしまう
- スタートアップは「やばい」「やめとけ」と言われてしまうのはなぜなのか?
- 「やばい」「やめとけ」と言われる理由とその解消方法を知りたい
そんな読者の方を想定して、スタートアップ・ベンチャー転職が「やばい」とか「やめとけ」と言われてしまうのがなぜなのか?それらは本当なのか?どうやったらそのリスクを軽減できるか、について解説します。
結論ファーストでお伝えすると、「やばい」「やめとけ」と言われる理由に一定の根拠はありますが、スタートアップのことをよく知らない人の食わず嫌いなネガティブバイアスがかかっています。勝手なイメージに踊らされるのではなく、スタートアップの実情をしっかりと理解することが大切です。
この記事を書いているKENは、
- 大企業からスタートアップに転職をしてきて、コーポレート部門の統括責任者をしています
- 大企業経験者からみたスタートアップ企業のリアルについて解説できます
KENの経歴や実績については、運営者情報ページをご覧ください。
スタートアップの食わず嫌いはもったいない!
スタートアップ企業とは
そもそもスタートアップ企業とはなんでしょうか?
日本では年間約15万社の新しい企業が設立されています。その中で、スタートアップと呼べるような急成長を期待できる企業はほんの一握りです。
スタートアップ企業とは、革新的なアイデアで事業展開し、創業から数年程度で急成長する企業のことです。 法律などにおける明確な定義付けはなく、アメリカのシリコンバレーで生まれた言葉とされています。
引用:freee
スタートアップとは、イノベーションを起こして短期間のうちに圧倒的な成長率で事業を展開する企業のことです。アメリカでベンチャー企業やIT企業などが集まるシリコンバレーで誕生した言葉といわれています。
引用:MoneyFoward
法律や制度で定められた定義はないものの、「革新性」と「成長性」の二つが共通のキーワードとなっていることが確認できます。
特に「成長性」については、短期間のうちに圧倒的な成長を遂げる企業ということになりますので、下記のような傾向があります。
- 新しく設立された若い会社であり、経営者も若いことが多い
- シリアルアントレプレナー(連続起業家)でもない限り、経営の経験が浅いため、会社はカオスな環境のなかで成長していくことになりやすい
- 短期間での成長を実現するために、ベンチャーキャピタルから資金調達を行い、短期的な赤字を許容して積極的な先行投資を行うことが多い
- 事業の成長が組織の成長よりも早いため、慢性的な人手不足に陥りがち
- その分、ひとりひとりに任される裁量が大きく、社員の成長にもつながりやすい
スタートアップへの転職が「やばい」「やめとけ」と言われる4つの理由
それでは、スタートアップ・ベンチャー企業への転職が「やばい」「やめとけ」と言われるのはなぜでしょうか?
スタートアップ転職に否定的な意見をネットで調べると、おおよそ下記の4つの意見に集約されます。
- 年収が大きく下がる
- 経営が不安定で倒産しやすい
- 労働時間が長く激務
- 教育や研修制度が整っていない
スタートアップ企業は、大企業に比べると、ヒト・モノ・カネといった資源が不足していますので、これらの意見は一部の真実を含んでいます。
ただし、かなり大雑把な一般論に過ぎないとも言えます。
スタートアップといっても本当にピンからキリまで存在しますし、また、創業間近のスタートアップと大きな資金調達を何度も実現しているレイターステージのスタートアップでも傾向は大きく異なります。
「スタートアップ」というひとつの概念としてとらえるよりも、個別ケースや成長ステージごとの特徴をしっかりと理解した上で評価をしていくことが重要です。
それでは、上記の4つの意見に対して、それぞれ下記のような視点を持ちながらかみ砕いて解説をしていきます。
- スタートアップが大雑把な一般的イメージとしてどうとらえられてしまっているか
- この否定的な意見が真実であるスタートアップの傾向
- この否定的な意見が当てはまらないスタートアップの傾向
理由①年収が下がる
スタートアップ・ベンチャー企業に転職をしたら年収が下がるのか?
結論ファーストで言うと、ケースバイケースとしか言えません。逆に言うと、スタートアップに転職をするからと言って年収が必ず下がるものではなく、年齢・職位・現在の年収レンジなど複合要因の掛け合わせによって決まってきます。
スタートアップ転職で年収の維持や向上も可能
野村総研が2021年に実施をしたWebアンケート調査によると、大企業からスタートアップに転職した方のうち、49%が年収が同水準以上であったと回答をしています。うち26%は大幅によくなった・よくなったと回答しています。


(野村総研 | 大企業からスタートアップへの転職経験に関する調査)
つまり、大企業からスタートアップへの転職であったとしても、年収が下がった方は約半分程度なのです。
年収が下がるかどうかは50:50なので、まさにケースバイケースと言うことなのです。
スタートアップ転職で年収を維持するためにやるべき工夫
スタートアップ転職での年収変化は複数の要因によって決まると述べましたが、特に影響を当てやすいものは下記の二つの要素になります。
- 現在勤めている企業属性とその年収レンジ:外資系企業・コンサル・投資銀行・総合商社など、年収の高い企業に勤めている場合は、スタートアップかどうかというよりも、「事業会社」に転職をする時点で年収が下がりやすい
- 対象とするスタートアップの成長ステージ:創業直後やシリーズAくらいまでのシード~アーリー期のスタートアップは年収が控えめ。シリーズB以降のミドル期からレイターステージに進むに従い、年収レンジが上がりやすくなる
よって、あなたが外資系企業や総合商社などの特別に年収の高い企業に勤めているわけではない場合には、シリーズB資金調達、できればシリーズC資金調達を実現していて勢いのあるレイターステージのスタートアップにフォーカスをすることで年収の維持をしやすくなります。
また、スタートアップ企業では、キャッシュによる年収オファーだけではなく、将来的にIPOを実現できた場合に大きなリターンが期待できるストックオプション制度を導入していることが多いです。
キャッシュのみではなく、ストックオプションへの期待値も含めた、トータルリターンとしての経済性を考慮していくと、アーリーステージのスタートアップへのチャレンジもしやすくなってきます。
理由②不安定で倒産のリスクがある
スタートアップ・ベンチャー企業は不安定で倒産のリスクが高いのか?
結論ファーストで言うと、アーリーステージのスタートアップは倒産リスクが高いですが、レイターステージに進むにしたがいリスクは下がります。年収の話と似ていますね。こちらも解説していきます。
アーリーステージのスタートアップへの転職リスク
まず、アーリーステージのスタートアップはビジネスモデルが確立しておらず、先行投資フェーズなので赤字であることがほとんどです。プロダクトがマーケットフィットをして売上が伸び損益分岐点を超えて黒字化するか、ベンチャーキャピタルから次の資金調達をするかのどちらかでキャッシュフローを回します。
ここで、プロダクトがマーケットフィットせずに(つまり、十分な顧客を見つけられずに)、事業戦略のピボット(大きな方針変換)をする資金余力もなく、ベンチャーキャピタルからの追加投資を受けられない場合には、残念ながら倒産や解散、もしくは、他社に身売りするなどの展開となってしまいます。
アーリーステージのスタートアップが、この二つの大きな岐路のうち、どちらの道に進むことができそうかを転職者が見極めることは困難です。スタートアップ投資のプロであるベンチャーキャピタルですら見極めが難しい世界です。
よって、アーリーステージのスタートアップにスコープを絞った話としては、「不安定で倒産のリスクがある」というのをしっかりと認識しておくことは重要です。
アーリーステージのスタートアップへの転職の醍醐味
他方で、リスクがあるのであればリターンもある、というのは意識しておいてもよいでしょう。
アーリーステージのスタートアップ企業こそ、ヒトというリソースが圧倒的に不足をしているため、大きな裁量権を持って働くことができますので、ビジネスパーソンとして圧倒的に大きな成長をすることができます。
また、例え、ワーストケースとして会社が倒産してしまったとしても、個人としてのスキルや経験値は消えません。
くわえて、アーリーステージのスタートアップは、カネというリソースにも大きな制約がありますので、キャッシュでの年収をあまり高く設定できない反面、ストックオプションを出すことに積極的なケースが多いです。
アーリーステージで付与されるストックオプションは行使価格も低く、レイターステージで付与されるよりも数が多めになりやすいため、もし事業が大きく伸びて将来的なIPOにつながる場合には、大きな経済リターンが期待できる可能性が、ワンチャンあります(とは言え、過剰に期待するのは止めておいた方がよいですが)。
よって、ビジネスパーソンとしての成長の機会ととらえた場合には、「MBAにお金を払っていくくらいなら、アーリーステージのスタートアップでお金(とストックオプション)をもらいながらリアルな現場での経験値を積んだほうが良い」と考えることもできるわけです(← 私はこの考えで大企業からスタートアップに飛び込みました)。
レイターステージの倒産リスクは一般中小企業と大きく変わらない
シリーズC資金調達を実現しているようなレイターステージのスタートアップ企業ですと、ビジネスモデルは確立されており、その企業の核となるようなプロダクト・サービスに関しては、黒字化が実現できているもしくは近い将来での黒字化が見えている可能性が高いです。
よって、会社全体が黒字化していなかったとしても、更なる成長のためのマーケティングや営業への投資、もしくは、第二第三の成長の矢となるような新規事業への先行投資によって赤字となっているケースが大半です。
この場合は、先行投資を減らしたり止めたりすることで黒字化させようと思えば黒字化できる状態にありますので、倒産のリスクは下がります。大口の取引先からの支払いが滞った、などの予期せぬトラブルがない限りは急に倒産するということは考えにくくなります。
このステージまで来ると、スタートアップ企業であることの不安定さ、というものが著しく減ってきますので、一般的な中小企業と倒産リスクとしては大きく変わらなくなります。
よって、スタートアップにはチャレンジしたいけれども、どうしても倒産というリスクは減らしたいという人はレイターステージに転職スコープを絞ることが賢明です。
ただし、繰り返しとなりますが、スタートアップ転職によって得られるビジネスパーソンとしての成長というメリットと、スタートアップが例え倒産をしてもそこで大きな活躍をした経験は資産として残りますし、その経験があれば転職先にも困らないことを考慮すると、「倒産リスク」を過剰に恐れて転職先の選択肢を狭めることは推奨しません。
理由③労働時間が長く激務
スタートップ・ベンチャー企業は労働時間が長く激務なのか?
結論ファーストで言うと、シード期のスタートアップを除き、過剰な心配は不要です。ただし、「一日8時間労働で、絶対に残業はしたくない」というような思考の人は、どのステージであってもスタートアップは向きませんので、やめておきましょう。
大前提としては、ヒト・モノ・カネの資源が不足しがちなスタートップは、社員ひとりひとりの生産性を最大化できるかどうかが成否を分ける要素の一つといっても過言ではありません。しっかり働いて成果を出しつつ、自分も労働を通して成長していくという意識は不可欠です。
その大前提があったうえでの話ですが、スタートアップと言えど最低限の勤怠管理は意識されるようになってきていますし、フレックスタイム制度やリモートワーク制度を取り入れて柔軟な働き方ができるようになっているため、一定のワークライフバランスの実現は可能です。
唯一の例外が創業直後からシード期のスタートアップです。社員数10名未満の本当に初期のスタートアップは、オフィスに寝袋を持ち込みながらサークル合宿のように仕事をする、というようなモードになっています。
そこから、会社の規模が大きくなり、コーポレート部門ができ、大きな投資家から資金調達を受けるようになるにしたがって、36協定違反(不当な長時間労働)がないように勤怠管理をやっていこうという意識がゆっくりゆっくり広がり始めます。
詳しくはこちらの記事にまとめていますので、気になる人は参照してみてください。


理由④教育や研修制度が整っていない
スタートップ・ベンチャー企業は教育や研修制度が整っていないので苦労をするのか?
結論ファーストで言うと、シリーズBのミドル期くらいまでのスタートアップには教育や研修制度は期待できません。それ以降のフェーズであっても大企業に比べると教育や研修制度が充実しているとは言いにくいです。
まず、そもそも、ミドル期くらいまでのスタートアップは、変化の連続です。ビジネスモデルは確立しておらず、試行錯誤を続けていますので、社内を見回すとマニュアルが十分に整備されていない部署の方が多いというような状態が普通です。三か月も経つと状況が変わってしまい、マニュアルが陳腐化してしまうので、わざわざ作るコストをかけられないためです。
そのようなカオスな環境のなかで、教育や研修制度を気にするような、他人に教えてもらうことを前提にしたような考え方だと生き残れません。
ただし、どのスタートアップも、採用に必死ですので、せっかく入ってくれたメンバーをわざと放置しようというつもりがあるわけではありません。単純に、教育係を置いたり、手厚いマニュアルを準備するようなリソースがないというだけなのです。誰もが積極的にOJTに巻き込んでいったり、質問をされたら一生懸命に教えるという姿勢を持っています。
シンプルに、自分の業務に手いっぱいなので、求められてもいないのに教えることの優先順位が必然的に下がってしまうのです。
スタートアップ、特に、ミドル期までのスタートアップはそういうカオスな環境です。
「教育とか研修制度なんて正直期待していないからどうでもいい。必要な情報は自分で取りに行く!」という意識がない人は、スタートアップ転職はやめておきましょう。
スタートアップに転職するメリットは?
ここまで、スタートアップ転職は「やばい」から「やめておけ」といわれる4つの理由を解説してきました。
たしかに、スタートアップ・ベンチャー企業は、大企業とは異なる環境なので注意が必要です。その「違い」を認識せずに、勢いだけで転職をしてしまうと、「こんなはずではなかった」と途方に暮れてしまうでしょう。そうならないように、4つの否定的な意見をもとに、スタートアップの現場のリアルをお伝えさせていただきました。
他方で、否定的な意見の解説だけではスタートアップの印象が偏ってしまいますので、断片的には触れてきましたが、スタートアップで働くことのメリットについても、3つに厳選して解説します。
裁量をもって働くことができ成長につながりやすい
スタートアップで働くことの一番の魅力は、大企業の3倍のスピードで成長できることです。
成長の著しいスタートアップでは、常に組織の成長(=採用ペース)よりも事業の成長が早いため、社員一人当たりに期待される役割が大きいうえに、やりたいと手を挙げてくれる人がいれば任せたい仕事というのが豊富にあります。
タスク仕事として上司に言われたことをこなしていくのと、上司を壁打ち役として使いながら、裁量をもって自分の頭で考えて仕事をしていくのでは、得られる経験の質と量において雲泥の差があります。
「鶏口牛後」という故事成語がありますが、大きな組織で埋もれるよりも、小さな組織で裁量の大きな仕事をしたほうが圧倒的に成長できます。
長い社会人キャリアのなかで、スキルアップ・キャリアアップのためにスタートアップで働くというのが当たり前になりつつあります。チャレンジをするなら、まさに今日が吉日です。
成果主義で評価されやすい
スタートアップ企業は若い会社ですので、年功序列のような考え方はありません。
高い投資リターンを期待する投資家であるベンチャーキャピタルから資金調達を行い、事業の成長を最優先しているスタートアップは、成果主義の傾向が圧倒的に強いです。
そのため、大企業と比べると、成果・実績を出すことが昇給に昇進につながりやすいというメリットがあります。
大企業において、
- 「どんなに成果を出しても、若いというだけで割り引いて評価されてしまう」
- 「マネージャー職にチャレンジをしてみたいけれど、上が詰まっていて昇格のチャンスがない」
というような課題感を持っている成長志向のビジネスパーソンにとっては、成果主義のスタートアップは理想的な環境になり得るのです。
ストックオプションが資産形成につながる可能性がある
スタートアップ転職の醍醐味として、ストックオプションがあります。
急成長を遂げるスタートアップ企業の場合、まだ成長途中にあるタイミングであらかじめ決めた株価に対して、上場後の株価が大きく上回る可能性があります。
その場合には、毎月の給与からコツコツと貯金をするだけでは到底築けないようなまとまった金額を、キャピタルゲイン(株の譲渡益)として獲得できます。
当然、転職先のスタートアップ企業がしっかりと成長を続けられるか、また、上場をすることができるか、というハードルを乗り越えた先の話とはなりますので、ストックオプションに過剰に期待をするべきではありません。
とは言え、自分が働くことで成果を出し、会社の成長に貢献をできた場合に、その会社の成長に連動したリターンが得られる可能性があるというのはモチベーションにつながりますよね。
スタートアップとストックオプションについては、こちらに詳しくまとめていますので、よければ読んでみてください。


スタートアップ転職で失敗しないために
まとめると、本記事では下記のような話をしてきました。
- スタートアップ転職は「やばい」「やめとけ」という意見は、創業直後のシード・アーリー期のスタートアップの偏ったイメージに引っ張られ過ぎている
- 指摘される懸念の多くは、ミドル・レイターステージ以降のスタートアップ企業を選ぶことで解消できる
- アーリー期のスタートアップも、期待できる裁量権やストックオプションの観点から魅力的と言える
大切なのは、スタートアップ転職に何を求めるかを明確にすることです。
「毎日楽をしてぬくぬくと働きたい、残業は絶対にしたくない」というような職場を求めているのであれば、スタートアップは向いていません。
他方で、「いままで培った経験を生かして、裁量を多く持ってスピード感のある環境で働きたい」という方であれば、スタートアップ企業は十分に選択肢のひとつとなり得ます。
ただし、スタートアップは、大企業ほど情報開示が多くありませんし、また知名度が高くなくとも魅力的な企業が多く存在しています。
現職で忙しく働きながら、スタートアップの情報収集を自力で進めていくのは時間の使い方として効率的とは言えません。そんなときこそ、転職のプロフェショナルである転職エージェントの力を借りることをおすすめします。
特に、スタートアップ企業の情報に精通している転職エージェント・転職サイトを3社に厳選してまとめていますので、よければ参考にしてください。


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