30代はその後のキャリア形成において最も重要な時期のひとつです。
20代に大企業で基礎力を身に着けたうえで、30代はより裁量の大きな仕事をして自身の成長を加速したい、という想いでスタートアップ転職をされる方は多くいます。
一方で、30代はライフステージの変わり目でもあります。家族が増えたので年収やワークライフバランスが気になるので、スタートアップ・ベンチャー企業で働くことに興味はあるが二の足を踏んでしまうという方も多いです。
この記事では、成長を求める30代こそやはりスタートアップにチャレンジすべきである理由とよくある懸念や課題に対する対応策を紹介していきます。
- 実はスタートアップに転職する人の大多数が30代である事実
- 30代こそがスタートアップ・ベンチャー転職に適している理由
- 30代ならではのスタートアップ転職に対するハードルとその対策の考え方
- それでもスタートアップ転職は絶対やめておいたほうが良い人のタイプ
この記事を書いているKENは、
- 大企業からスタートアップに転職をしてCFOロールを含めたコーポレートの責任者を経験しています
- 自分自身が30代でスタートアップの世界に飛び込みました
KENの経歴や実績については、運営者情報ページをご覧ください。
スタートアップ転職に30代はちょうどいい!
スタートアップ企業に実際に30代で転職をし、またたくさんの転職者を採用してきた筆者が現場のリアルを交えて解説します。
スタートアップ転職はそもそも30代が主流
スタートアップ・ベンチャー企業で働いている人の大半は中途採用です。
大企業に比べて資源の限られるスタートアップ企業は新卒を採用して教育をするだけのコストをかけられないため、即戦力となりやすい中途人材を積極的に採用しています。
どのような年齢層がスタートアップ転職組として多いのでしょうか?
野村総研が2021年に実施をしたWebアンケート調査によると、大企業からスタートアップに転職経験のある回答者のうち、30代が54%を占めており最多であったという結果があります(⼤企業からスタートアップへの転職経験に関する調査)。
スタートアップというとキラキラした20代が働いていそうなイメージがあるかもしれませんが、実はスタートアップ転職のメインストリームは30代だったのです。
30代こそがスタートアップ転職に向いている理由
実は私自身も大企業からスタートアップに転職をしたのは30代の前半というタイミングでした。そして、実際に転職をした先のスタートアップでは、同じく30代で転職をしてきたという人が多かったです。
そして自分自身や周りの経験も踏まえながら、30代こそがスタートアップ転職のベストなタイミングのひとつだと感じています。その理由は大きく分けて3つあります。
裁量が多くその後のキャリア形成に圧倒的な差をつけられる
ひとつめは、そもそもなぜ転職自体をするのかという内発的な動機と関連してきます。長期的なキャリア形成や成長機会を考えると、短時間で圧倒的に濃い経験を得られる環境に身を置くにはスタートアップが最適であるという話です。
20代のうちは新しいことに積極的にチャレンジする姿勢や与えられた仕事をやり切る実行力、チームプレーを重視するコミュニケーション力など「しっかりした社会人としての基礎力」を発揮することで評価されるものです。
40代以降になると、社会人の基礎力は当然の前提としてとらえられます。基礎力がしっかりあったとしても、高く評価され出世をし年収が上がり続ける人と、そうでもない人が出てきます。その差を生むのは、「責任ある当事者としてビジネス判断に関わる場数をどれだけ踏んできたか」という経験値の差です。
30代のうちに、大きな組織の歯車のひとつとして局所的な責任範囲しか持たずに仕事をしてきた人と、小さな組織でもよいので広い視野と高い視座を持って仕事をしてきた人とでは、獲得できる知識と経験の幅と深みに圧倒的な差が出てきます。
その後のキャリア形成の分岐点となる30代こそ、濃い経験を積むために転職という大きな決断をするのは理にかなっているのです。
十分な知見があり即戦力として活躍ができる
ふたつめは、30代であるからこそ蓄積している業務知見についてです。大企業に比べてヒト・モノ・カネという資源が限定的なスタートアップは即戦力を求めています。
営業を中途採用するのであれば、商材が変わっても短期間で即戦力となりえるような一定の営業経験者を求めているイメージです。顧客の課題・予算・決裁フローをいちはやく把握して、自社のプロダクトをソリューションとして提案するような「営業の型化」が一定できていて、新しい商材用にそれをアレンジするだけというのが理想というような形です。
自身の業務範囲において、十分な知見を備えている30代であれば即戦力として活躍ができる可能性が高まります。
前述のWebアンケート調査においても、「過去に⼤企業で働いていたときに⾝に着けた・磨かれたスキルの中でも、スタートアップで働くにあたり役に⽴っていると感じるもの」という設問に対して、回答のTop 5は下記でした。
- 業務を通じた専⾨性・知識/技術(業務知⾒)
- 外部連携⼒(社内の他部⾨、同業種・異業種の他社との協働による、異分野との連携)
- ロジカルシンキング(⼤企業的思考⼒)
- やり抜く⼒(ハードな仕事を完遂する⼒)
- プロジェクトマネジメントスキル(リーダーシップ)
連携力やロジカルシンキングといった応用範囲の広い汎用スキルではなく、専門性や知識という業務特化の知見や経験値が役立ったというのが明確なのがポイントです。
大企業の中ではもしかしたら普通扱いされているあなたの業務知見が、スタートアップでは強い武器になる可能性があるのです。
失敗してもやり直しがきく
みっつめは、30代という絶妙なタイミングについてです。
転職というのは大きな決断で、誰もが理想の会社に就職をして、そこで活躍したいと考えます。
他方で、転職活動というのは、大きな情報の非対称性が存在しており、実際に就職してみるまではその会社の本当の姿は分かりません(実際には転職してもすぐには分からないものですが)。転職してみたら、思っていた・聞いていたのと違った、というのは残念ながらときどきある話です。
また、スタートアップというのは、その存在定義としてそもそも新しいビジネスモデルやサービスの立ち上げに挑戦をしているものであり、リスクがつきものです。特にアーリーなフェーズのスタートアップであるほど事業の失敗リスクが相対的に高く、転職者がいち社員としていかに活躍をしようとも、会社や事業の存続がかなわないこともあります。


30代であれば、まだまだ転職のチャンスは豊富に存在します。転職をしたスタートアップがうまくいかず、会社都合での転職を余儀なくされたとしても、あなた自身のスキルや経験を正しく訴求することができれば、全く問題ありません。
リスクを取りやすくリカバリーがききやすいので、30代はスタートアップ転職にチャレンジをしやすいです。
30代でスタートアップ転職がハードルとなりえる理由とその対策
一方で、30代というライフステージだからこそ、スタートアップ転職に対して、思い悩んでしまうこともあります。
家族が増えるので収入は減らせない
30代は結婚や子供が生まれるなどのライフイベントが多い年代です。
それゆえに、家族が増えるので年収が下がってしまうような転職はできない、というのはよくある悩みです。
ところで、スタートアップに転職をするとそもそも年収は下がるのでしょうか?
前述のWebアンケート調査によると、大企業からスタートアップに転職した方のうち、49%が年収が同水準以上であったと回答をしています。つまり、大企業からの転職であったとしても、年収が下がった方は約半分程度なのです。
実際にはケースバイケースとなりますが、現職での年収と転職先のスタートアップの成長ステージによる年収変化は下記のようなイメージになります。
- 現職の年収が高めであるほど、スタートアップへの転職で年収が下がりやすい
- 転職先のスタートアップの成長ステージがアーリーであるほど、年収が下がりやすい
逆の考えとして、年収をなるべく維持したいと考える場合には、下記のような対策が重要になります。
- スタートアップの中でも、なるべく成長をしているレイターステージの企業を選ぶ(例:シリーズC資金調達が終わっている)
- 現職の年収が特に高い人は、多少の減少はやはり覚悟する必要があるが、ストックオプションを含めたトータルリターンを想定する
- 転職エージェントを活用して、しっかりと年収の期待値を伝える
スタートアップ転職におけるストックオプションの考え方についてはこちらの記事にまとめています。


家族が増えるのでワークライフバランスを急激に悪化させられない
家族が増えるとなると、年収だけではなく、家族と過ごす時間の考慮も欠かせません。
極端なケースですと、スタートアップ企業はオフィスに寝泊まりするようなブラックな働き方をしているというイメージがあるかもしれません。
たしかにスタートアップはヒト・モノ・カネというリソースが限られているので、社員ひとりひとりに期待をするものは大きくなります。
他方で、よっぽどの創業期のスタートアップを除いては、一定の常識の範囲内の働き方をしているところが中心です。また、スタートアップ企業のほうが柔軟な働き方に対応していることも多く、働く時間帯を選びやすいフレックスタイム制度や、働く場所まで選べるリモートワーク制度を導入しているケースも多いです。
スタートアップ企業に転職をして楽をしようというのは的外れな目的になりますが、家庭の時間も取れるようにフレキシブルな働き方をするというのは、スタートアップのほうが自由度が高いことも十分にありえます。
転職活動の中でしっかりと働き方についてのリサーチもするようにしましょう。ただし、ワークライフバランスに関して、ナイーブな質問の仕方をするとネガティブにとらえられてしまうリスクもありますので、こちらの記事を参考にしてみてください。


スタートアップ転職を絶対に止めておいたほうがよい人の傾向
スタートアップ転職は「攻め」の転職です。
保守的で何事にも時間がかかる大企業。大きな組織の歯車の一つとして狭いスコープでの仕事しかできない。そこを抜け出して、圧倒的なスピードと濃度で経験を積める環境、そして、裁量を持って広い視野で仕事ができる環境を求めてチャレンジするのがスタートアップ転職です。
逆に、下記のような考えや価値観の人はスタートアップ転職は絶対に止めておきましょう。必ず後悔することとなります。隣の芝生は青く見えるだけなので、現状を維持することに努力したほうが幸せでしょう。
- 成長意欲:スキルアップや成長よりも、早く帰ってお給料をもらえることを重視したい人
- 自主性:自主的に仕事を作るのではなく、言われたことを淡々とこなすほうが心地よい人
- 柔軟性:変化のスピードを楽しむのではなく、「変わらないこと」を大事にしたい人リスト
MBAにいくよりもスタートアップ転職を進めたい
おそらく、30代でスタートアップ転職を考える方にとって、一番の悩みとなるのは「年収」です。
特に、現状の年収が高い方。コンサル、外資金融、商社、GAFAMなどの高年収企業の出身者は当然として、多くの大企業でエース級の評価を受けているような方々は、例えレイターステージの企業であっても、CxOや執行役員以上のオファーでない限り、キャッシュでの年収は下がるはずです(CxOや執行役員オファーがスタートアップ未経験者にいきなり出るか、またそれでも年収マッチできる可能性は高くないのが実情)。
私の場合も、スタートアップに転職する際に、年収は数百万円単位で下がりました。
それでも思い切って転職をしたのは、(ストックオプションに対する淡い期待もありますが)大企業にいるままでは得られない濃密な経験をさせてもらえることに対する授業料という考え方をしたからです。
スキルアップやキャリアチェンジのためにMBA留学を自費ですることを想像すると、2年間で2,000万円近いお金が出ていきます。かつ、その間の収入はありません。
スタートアップに転職をしたら学費を払うのではなく、むしろお給料がもらえるわけです。その意味では、スキル獲得や自己成長重視のスタートアップ転職には2,000万円以上の価値があります。数百万円の年収が下がるのは、十分意味のある先行投資だと考えました。
まとめ:成長を求める30代こそスタートアップ転職にむいている
本記事では、キャリアを飛躍させたい30代の方にこそ、裁量権が大きくスピード感のある仕事ができるスタートアップが最適である点を説明させてもらいました。
年収やワークライフバランスの懸念についても、その考え方や懸念の具体的な軽減策を提案させてもらっています。
ただし、これらの対策を講じながらスタートアップ転職をひとりで実現するのは時間・労力・情報量の観点から限界があります。
ぜひ、スタートアップ企業の情報を多く把握している転職のプロの力を有効活用してください。転職エージェントは無料で活用できます。様々な転職エージェントが存在しますが、スタートアップ転職に強いエージェントを厳選してこちらの記事でまとめています。


もうひとつ記事を読むお時間がない方におすすめだけお伝えすると、選ばれた人だけの会員制転職サイト BIZREACH









