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スタートアップ・ベンチャー企業のCFOになりたいと思ったら読む記事

この記事で解決できるお悩み
  • スタートアップ企業のCFOになりたいけれど、求められる期待値が分からない
  • スタートアップCFOが自分に務まるのか分からない
  • スタートアップCFOになるには何から始めたらよいのだろう?

そんな読者の方を想定して、スタートアップCFOに求めらえる役割、不可欠なスキル、CFOになるためのステップをお伝えします。

特に、みなさんが気にしている「資金調達の未経験者でもスタートアップCFOになれるのか?」という質問にも答えていきます。

この記事を書いているKENは、

  • 大企業からスタートアップに転職をしてCFOロールを含めたコーポレートの責任者を経験しています
  • 資金調達の未経験でも、ベンチャーキャピタルからの資金調達を実現しています

KENの経歴や実績については、運営者情報ページをご覧ください。

KEN

スタートアップCFO仲間を増やしたい!

スタートアップ企業でまさにCFOロールを務めている筆者が現場のリアルを交えて解説します。

目次

スタートアップでCFOが必要になるタイミング

まずはじめに、スタートアップ企業がいつごろからCFO採用を始めるのかを理解しておきましょう。

スタートアップ・ベンチャー企業のライフサイクルにおいて、CFOは創業当社からどうしても必要な存在ではありません。

スタートアップの成長フェーズが進んでいき、資金調達の規模の拡大や複雑性の増加に応じて、CFOの必要度が上がっていきます。

シードステージのスタートアップにCFOは不要

創業直後からシリーズAファイナンス前くらいまでのシードステージにはCFOは不要です。

会社としては、何よりもプロダクト作りが重視されているフェーズです。プロダクト作りしかしてないし、すべきではないと言っても過言ではありません。

MVP(Minimum Viable Product)を苦労しながら作り上げて、潜在顧客の反応を見ながら試行錯誤を繰り返し、PMF(Product Market Fit)の達成を目指します。このフェーズのスタートアップのリソースの大半はエンジニアリングに費やされるべきですので、CFOを採用すべきではありません。

創業時もしくはシード期の資金調達においては、J-KISSのようなパッケージが存在していますし、シードVCも伴走をしてくれますので、創業者(多くの場合CEO)のみでやり切ることが可能です。

もし、シード期のスタートアップでCFO採用をしているところがあったら、その理由をしっかりと聞いてみましょう。シード期で資金調達が難しいということであれば、それは、そもそものビジネスプラン(例:ターゲットとしている市場規模が小さすぎる)やプロダクトに課題があることが想定されます。

CFOが解決できる課題ではありません。

シリーズA/BくらいからはCFOはいた方がいい

PMFが見えてきたシリーズAや、スケーラブルなグロースのための拡大期となるシリーズBとして数億円から数十億調達するようなタイミングが、スタートアップがCFOを必要とし始めるタイミングです。

シリーズA以降になってくると、下記のような会社規模での進化・変化が出始めます。CEO一人で対応をし続けると、本来CEOが向き合うべき事業成長が疎かになってしまうという大きなトレードオフが発生するからです。

  • 投資金額(およびその元となるファンドサイズ)の大きな、ハンズオン型のVCが上位株主として入ってくることが多い。VCから社外取締役が入り、取締役会設置会社に移行し、監査役も設置され、会社らしいガバナンス体制の骨格ができ始める。管理・運用コストが上昇し始める
  • 組織規模が拡大し、バーンレートも高くなりやすい。キャッシュフローをみながらランウェイを意識して、次の資金調達シナリオを常に考えた事業運営の必要性が高まる
  • 社内向けには経営管理(KPI・コスト効率性管理など)、社外向けには実績報告(特にIRを意識した報告の仕方の工夫)の重要度が増す
  • シリーズB以降くらいからは、将来的な上場準備を意識し始めるので、証券会社や監査法人の選定など高い専門性を求めらえるようになる

CFOがいない場合、これらの業務にCEOが時間を割くことになってしまい、CEOの時間の使い方としては非常にもったいない状態です。当然、大株主であるVCとしてもそれは不本意な状態です。

よって、シリーズAが終わったくらいには、VCのほうから「CFOを探しましょう」という提案をスタートアップにしているケースも多く存在します。

このあたりは本記事の最後で触れますが、スタートアップ企業に精通し鮮度の高い情報をおさえているスタートアップ特化型の転職エージェントを活用するメリットのひとつとなります。

スタートアップのCFOに求められる役割

基本はCEOの負荷を下げること

スタートアップのCFOはある意味では何でも屋です。

会社の経営方針やプロダクト方針を描いて成長をドライブしていくCEOや、プロダクト作りや技術面でその実現を支えるCTOができないこと・やらないことを、何でもやっていく経営メンバーがCFOです。

CFO自身もスタートアップの成長にコミットしますが、何よりも、CEOが事業成長に真正面から向き合えるように立ち回るのが最もCFOに求められている役割です。

その中でも重視されるのはやはり「攻めのファイナンス」です。もちろん、「守りのファイナンス」も両立できればベストですが、フェーズが進み、組織規模が拡大し、複雑性を増してくると、CFO自身もデリゲーション(権限移譲)が必要となってきます。

それでは、攻めのファイナンス領域から順番に解説していきます。

エクイティストーリーの構築

スタートアップCFOの仕事として最も重要なものがエクイティストーリーの構築です。

エクイティストーリーとはファイナンス界隈ではよく聞く言葉ですが、人によって意味するところに揺らぎがありそうですので、定義を確認しておきましょう。

エクイティストーリーとは、投資家に向けて自社のビジネスモデル、市場環境、成長戦略などの道筋をわかりやすく説明するストーリーのことをいいます。

引用:SOCIO

つまり、最終的なアウトプット(成果物)としては、エクイティ(株式)投資家に向けた、「自社がなぜ成長することができており、これからさらに成長を続けることができるのか」を説明する資料(ピッチブックと付随する事業計画)を作り上げることがCFOの重要な役割なのです。

実務上のおおよその進め方と、CFOとしての付加価値の出し方は、下記のようになります。

  • ゼロから始めるわけではなく、シードファイナンスなどCFO採用の前の資金調達の際にCEOが作成したピッチブックをアップデートしていくのが効率が良い
  • 業界や事業に必ずしも詳しくない投資家から見ても、「なぜこの会社が伸びるのか」が分かりやすい説明ストーリーを推敲する(例:競争優位性を定性的に説明し、その結果として成約率やコンバージョンレートがこれだけ高く継続しているというのを定量的に示してあげる)
  • シードファイナンスに比べると、実績の数字が出ている分、その数字をどう切り出してうまく表現をするかという工夫の余地が生まれる。第一印象をよくすることは資金調達においても重要(ここは投資銀行出身者が得意な領域)
  • 実績の数字が出ている分、事業計画の妥当性がシビアに問われる。KPIの因数分解から事業計画の妥当性を説明できるようにロジックを準備する(投資家によるビジネスDDの中で問われるポイントを意識した準備)
  • 投資家からみたEXITシナリオを想定し、投資家が十分なリターンを得られる事業計画になっているかを検証し、修正するフィードバックサイクルを回す(スタートアップはリスクテイクをしてくれる投資家抜きには存続しないという意識の浸透)

なお、前提として、入社したばかりで事業に詳しくないCFOがこれらを全て自力でやり切るのは無理があります。

よって、シードファイナンス(もしくは前回の資金調達)をやり切ったCEOと共同でのプロジェクトになりますが、

  • CEOと積極的にコミュニケーションをとりながらプロジェクトマネジメントできる力
  • すべての前提となる自社のビジネスモデル、プロダクト、競争環境などを調査・理解できる力
  • ハンズオンでモデルを回しながら、説明できる範囲で十分にストレッチしたKPIを設定できる力

を持ちながら、どこまでCEOの負担を減らせるかがCFOとしての腕の見せ所となります。

ファイナンス計画の構築と実行

CFOの業務として次に重要なので、構築したエクイティストーリーを活用して、実際に資金調達を実現していくことです。

まずは事業計画を支えるためのファイナンス計画を立て、その後にエグゼキューションというステップになります。

まずはファイナンス計画の構築のしかたから解説していきます。

ファイナンス計画の構築

作成した事業計画モデルを活用しながら、おおよそ下記のような検討をしていきます。

  • 事業計画に基づき、必要な資金総額を計算する(例:24ヵ月後に黒字化するため、それまでの赤字額である10億円の手当が必要)
  • エクイティストーリーで参照する事業計画は、相当にストレッチされていたり、願望を含んでいるアップサイドケースになっている。前提となるKPIを実力値に合わせたベースケースを内部資料として作成する。ベースケースでの必要資金総額を計算する(例:30ヵ月後に黒字化するため、それまでの赤字額である15億円の手当が必要)
  • 実力値に合わせたベースケースにおいても「普通にいけばこのくらいは伸びる」という前提がなんらか含まれている。その前提にリスクがないのか。トラブルが起きて遅延が発生した場合などを一定想定した保守的なリスクケースを作成する。リスクケースでの必要資金総額を計算する(例:36ヵ月後に黒字化するため、それまでの赤字額である20億円の手当が必要)
  • 事業計画(投資家に見せるものなので、社内的にはアップサイドケースに該当するもの)をもとにどの程度のバリュエーションが期待できるかを試算。バリュエーションと調達金額を変数として、株式の希薄化をアウトプットとするセンシティビティ・テーブルを作成
  • センシティビティ・テーブルと、ベースケース、リスクケースを並べながら、CEOや経営チームと最終的にいくらの調達をすべきかを議論。CFOの役割として重要なのは下記の問いかけをして経営チームで考え切ること。「ベースケースもしくはリスクケースに近い結果となってしまった場合に、そのときの事業マイルストーンの達成具合、成長率、ユニットエコノミクス、バーンレートの状況で、フラットラウンド以上の資金調達ができるか?」
  • 最後に、集める資金の総額をエクイティとデットに分割する

なお、私がCFOロールを担った感覚値としては、アップサイドケースで必要な資金の倍以上は常に確保しておいたほうが良い、というのが鉄則です。

エクイティによる資金調達

エクイティの資金調達はおおよそ下記のようなステップを踏んでいきます。実際にはいろんなバリエーションがありますので、あくまでイメージを持ってもらうための一例としてとらえてください。

  1. (エクイティストーリーはすでに構築されていて、投資家に見せられるピッチブックと事業計画モデルのエクセルファイルがあるという前提で)
  2. 声をかける投資家リストの作成:シードファイナンスなどで既に株主となってくれているベンチャーキャピタルに協力をしてもらうのが早い。遠慮せずに一番に相談すべし
  3. リード投資家候補へのピッチ:バリュエーションを含む投資条件(=タームシート)の決定をすることができ、投資金額も大きいリード投資家を先に攻める。フォロー投資家はあと
  4. デューデリジェンス(DD)対応:ビジネスDD関連の質問対応はエクイティストーリーと矛盾がないように工夫。会計や法務DDは資料リクエストに淡々と応えていく
  5. タームシートの精査から、投資契約・株主間契約の更新:法律事務所を活用しながら、大株主のベンチャーキャピタルにも相談しながら進めるのがよい
  6. 取締役会決議、株主総会決議を通して、契約締結から着金までのクロージング手続き:法律事務所に必要な手続きや議事録の下書きをしてもらいながら進めるのがよい

CFOとして、社内外のステークホルダーを取りまとめながらプロジェクトマネジメントをしていくことが重要です。

受け身だとうまく行きませんので、CFOが運転席に座りながら自分でドライブをかけるという意識で臨みましょう。助手席にCEOを座らせながら、行く先の方向確認や投資家とのミーティングにはできる限り出てもらうなどのコミットメントを得ることが不可欠です。

現時点では、スタートアップ・ファイナンス(ベンチャーキャピタルからの資金調達)においてCEOのほうが経験者であることが多いため、実際に資金調達を一緒にやりながら引継ぎをしてもらうつもりでやりましょう。

デットによる資金調達

まだ黒字化していないスタートアップ企業の場合、大前提として、デットによる資金調達は難しいです。

IRR20-40%を目指すベンチャーキャピタルと、金利2-3%で商売をしている銀行では、とれるリスクの大きさが異なるためです。

また、デットによる調達の目的をどう整理するかにも依存します。以下のような特別な理由がなければ、デット調達にリソースを割かずに、エクイティ調達のみにフォーカスをすることをおすすめします。

  • 株式希薄化の軽減:多額の先行投資が必要なため調達金額が大きく、100%エクイティ調達をしてしまうと希薄化が大きすぎると考える場合
  • 将来を見越した銀行との関係構築:設備投資やM&Aを予定しており、反復的に融資を活用するため早めに関係を築いておきたい場合

デットの調達はおおよそ下記のようなステップを踏んでいきます。実際にはいろんなバリエーションがありますので、あくまでイメージを持ってもらうための一例としてとらえてください。

  • (エクイティストーリーはすでに構築されていて、投資家に見せられるピッチブックと事業計画モデルのエクセルファイルがあるという前提で)
  • 銀行に提出をする事業計画(バンクケース)の作成:投資家向けのアップサイドケースをそのまま銀行に出すことも考えられるが、ベンチャーキャピタルよりも毎月の実績確認をシビアに行ってくるため、予実差異が大きくなり過ぎないようなラインで事業計画を提出する(※ベースケースに近いもののイメージ)
  • 声をかける銀行リストの作成:スタートアップへの融資のプレスリリースを検索したり、株主のベンチャーキャピタルに相談
  • 銀行へのピッチ:無担保無保証での長期融資(プロパーローン)が可能か?新株予約権をつけたベンチャーデットであれば融資可能か?の温度感の見極め
  • デューデリジェンス(DD)対応:ビジネスDD関連の質問対応はエクイティストーリーと矛盾がないように工夫。会計や法務DDは資料リクエストに淡々と応えていく
  • タームシート交渉:タームシートという概念がなくいきなり契約書作成に飛ぶケースがあるため、重要な条件は事前に明文化して合意をしておく(金額、期間、金利、担保・保証・コベナンツの有無、ベンチャーデットの場合は新株予約権の条件など)
  • 金銭消費貸借契約やベンチャーデットの場合には新株予約権割当契約書などの締結:新株予約権を発行する場合には法律事務所に発行要項や割当契約書等の作成を依頼する
  • 取締役会決議やベンチャーデットの場合には株主総会決議を通して、契約締結から着金までのクロージング手続き:新株予約権を発行する場合には法律事務所に必要な手続きや議事録の下書きをしてもらいながら進めるのがよい

CFOがやることもあるが移譲可能な役割

CFOの枠割は多岐に渡ります。いままで説明をした「攻めのファイナンス」とは別の、「守りのファイナンス」領域も見ていきましょう。

これらはCFOがやるのも良いですが、組織規模が拡大していくとともに、権限移譲をしていくことが可能な領域です。

もしくは、積極的に権限移譲をして、CFOとしての「攻めのファイナンス」に注力をしたほうが良い場合もあります。自社の状況に応じて、柔軟に対応をしていきましょう。

経営管理(FP&A)

経営管理やFinancial Planning and Analysis (FP&A)は下記のような業務を含みます。

  • 予算策定と予実管理
  • 事業成長やコスト削減に資する管理会計の導入
  • KPIモニタリング
  • 社内外ステークホルダーへのレポーティング

多くのスタートアップ企業において、CFOが入社するようなタイミングにおいて、これらの原型になるようななんらかのプロセスは存在していることが多いです(少なくともバーンレートやランウェイの報告をシードラウンドからのベンチャーキャピタル投資家に報告をしているはずなので)。

CFOが入社したあとで、ハンズオンでこれらを整備していくのもよいですし、コーポレート部門内で経営管理を担うチームを組成し(たとえば、経理部から始まり、徐々に経営企画部などに移行していくイメージ)というのもよいでしょう。

IPO準備

シリーズBやシリーズC前後のタイミングで、将来的な上場を具体的に意識し始めたところで、主幹事証券会社を選定するところからIPO準備は本格化していきます(監査法人の選定という論点もありますが、やはり証券選定がトリガーになります)。

そこから社内でも上場準備プロジェクトを発足させ、コーポレート部門を中心にメンバーを募っていきます。

上場準備プロセスはいままでやっていなかったような細かい会社のルールを定めて運用をしていくことになるので、意識的にパワーをかけないと前に進めないタイミングがどこかでやってきます。

例えば、いままでスタートアップらしい自由な働き方をしていたのに、「勤怠管理の徹底」という大号令のもと、毎日の出退勤の記録づけや深夜残業・休日出勤の事前申請などが求められてきます。

「なぜ、勤怠管理の徹底が大切なのか」をしっかりと説明しないと社内で十分な協力を得ることはできませんし、そもそも「なぜ、上場を目指すのか?」というのを丁寧に説明し理解してもらうことも欠かせません。

このあたりは、できればCEOから、少なくともCFOから全社に向けて積極的に説明をしていくことが重要です。

上場準備プロジェクトが軌道に乗り始めれば、プロジェクトリーダーを立てて、権限移譲をしていくことで実務上のプロジェクトマネジメントは任せることが可能です。

とは言え、証券会社や監査法人との鍵となるようなコミュニケーションにおいてCFOのオーナーシップは欠かせませんし、上場準備プロジェクトのスポンサーとしてもCFOの関与は必須です。

コーポレート部門の管掌

成長を重視するスタートアップ企業において、守りのイメージの強いコーポレート部門は採用の優先度が劣後しがちです。

経理、人事、労務、法務の各チームにメンバーやマネージャーはいるが、管掌役員を務められるようなレイヤーではCFOしか人材がおらず、CFOがコーポレート部門全体の管掌役員となるというようなケースもしばしばあります。

全社員を足しても100名以下の小さな組織であれば可能かもしれませんが、それ以上になってくると、当然、事業の複雑性や難易度も高く、CFOが攻めのファイナンスを担いながら守りのコーポレート全体を管掌するというのが少しずつ難しくなってきます。

CHROだったり、コーポレート本部長だったり、コーポレート部門の管掌を分担できるような経営レイヤーの採用を意識的にしておくことが重要です(とは言っても、前述の力学で後追いになって苦労するのですが)。

資金調達の未経験者でもスタートアップCFOになれるのか?

「スタートアップのCFOになりたい」と思う方の多くが、やはり、醍醐味のひとつである、資金調達をリードしてみたいと考えているでしょう。

同時に、「資金調達をやったことなくても、スタートアップCFOになれるのか?」という疑問も抱いているはずです。

KEN

資金調達をやったことがなくても、CFOにはなれます!

ただし、留意点がありますので、順番に解説していきます。

そもそも資金調達の経験者は多くない

まず、CFOを採用したいスタートアップ側の立場に立つと、もちろんCFOで採用するなら資金調達経験が豊富な方が望ましいです。Provenな(証明された)スキルがあるわけですからね。

ただし、そもそもスタートアップで資金調達をリードしたことがあるCFOがどれほど業界にいて、かつ人材として流通しているか、という観点で言うと、圧倒的に足りないというのが実情です。

よって、資金調達のスキルについては、後から十分に学習可能なものとみなされています。

資金調達の未経験者であっても、CFO想定のポジションで採用されることは十分にある話です。

未経験者の場合はCFO候補から始まるケースも

「CFO想定のポジション」と書いたのには訳があります。

やはり資金調達の(もしくはそれに相当するような)実績がないと、「いきなりCFOとして着任するのが妥当なのか?」という疑問が社内外から生まれやすくなります。

よって、現実的な解として、「CFO候補として採用をし、実績を見ながらCFOに昇格をしていく」という着地をすることが多いです。

ただし、これはなにもCFOに限った話ではありません。

多くのスタートアップにおいて、入社当初からCxOの肩書がつくのは、前職でよっぽどのProvenな実績がある場合です(転職先よりもフェーズが先に進んでいたり、規模が大きなスタートアップで同様のCxO職を担っていた実績がある場合など)。

どちらかというと、変に肩書にこだわらずに、会社に求められる活躍をしていく!という姿勢のほうが、スタートアップマインドとしてカルチャーフィットもしやすいものでもあります。

スタートアップCFOに不可欠な3つのスキル

それでは、資金調達の未経験者でもスタートアップCFOとして成功するために必要なスキルとはどんなものなのでしょうか?

優先度の高い3つに厳選をして解説をします。

信頼関係を築く人間性とコミュニケーション

スキルと言いながらも、「人間性」というフレーズが入ってしまっていますが、やはり、社内外のステークホルダーと信頼関係を築けるというのがすべてにおいて優先される重要度を持ちます。

会社のお金・信用の番人たるCFO。信頼されなければ何も始まりません。CFOとしてのすべての役割の土台となります。

  • CEOや他の経営メンバーから見ると、スタートアップ・ベンチャーという壮大な冒険を共に成し遂げようとする仲間であり、背中を預けられる戦友です
  • ベンチャーキャピタルや銀行から見ると、事業計画の説明やDDの回答をしてくれるスタートアップ企業のキーマンというだけではなく、会社の資金繰りの責任者でもあります
  • 証券会社や監査法人から見ると、財務数値の確からしさやその前提となる内部統制、ガバナンス、コンプライアンスを理解して推進していけるかが問われます

これらの信頼を得るためには、下記のような基礎的な振る舞いやマインドセットが必須です。

  • 嘘をつかない、ごまかさない
  • 知的好奇心が旺盛で、成長意欲が強い
  • 自分の報酬や役職へのこだわりよりも、事業や会社をよくしようという意識が強い
  • 他人や環境のせいにする他責思考ではなく、自分になにができたかという自責思考

事業理解と成長シナリオの想像力

CFOの一番のロールはエクイティストーリーの構築である、という話をしました。やはり、その前提となる、事業を理解して、自社の成長シナリオを想像できる力、というのは欠かせません。

これは必ずしも起業経験を持っていて欲しいとか、事業責任者を務めたことがないとダメであるとか、そういう話ではありません。

実務上においても、事業を実際に推進している責任者ほどの事業理解は得られないし、創業者やCEOほどの解像度で成長ストーリーを想像することは難しいです。それぞれのミッションと得意分野がそもそも異なるためです。

ただし、事業に興味を持ち、CEOとディスカッションをしながら成長シナリオを自分の頭でも想像して、投資家に自分の言葉でも語れるようになる必要があります。意味を理解していない台本の棒読みでは投資家はついてきてくれません

CFOの仕事とは、自社ビジネスの情報を、投資家が理解できて魅力的と感じるように翻訳をしてあげることです。

そのための、最低限のビジネスの興味・理解ができる必要があります。

数値の分析力・把握力

CFOが数字に強いことは社内外の信頼を得る一番の近道です。これができないと挫折します

下記のようなスキルがない方は厳しいです。おそらくこの記事の読者の方の大部分にとっては問題ないと思いますが。

  • 財務諸表を見れば、どんな事業をやっているのか、どんな課題を抱えているのかがおおよそイメージできる
  • KPIの推移表を眺めると、過去のトレンドと逸脱しているような異常値をすぐに検知できる
  • スプレッドシートで財務モデリングを自力で組むことができる
  • 他人が作った財務モデリングのミスをすぐに見つけることができる

スタートアップCFO(もしくはCFO候補)として転職をしたとして、事業理解が追い付くまでには時間がかかります。

他方で数字の強みはすぐに発揮できるものです。まずはそこで信頼実績を積み上げられるようにしましょう。

スタートアップCFOになるには?

それでは実際にスタートアップのCFOになるために何をしていけばよいのかを解説します。

シリーズAくらいのフェーズでCFO候補として入社する

まずはターゲットを絞りましょう

スタートアップ企業といっても創業したばかりのシードステージのスタートアップもあれば、上場間近のレイターステージのスタートアップもあります。

やはりねらい目はシリーズAからシリーズBくらいの成長フェーズにいるスタートアップです。

シードファイナンスはCEOが完了していて、次に大きな資金調達をしていきたいが、CEOとして事業にもっと時間を使いたい。そろそろCFOを採用しよう。というスタートアップに、CFO候補として入社をすることを狙うのが最も確率が高いです。

創業直後のスタートアップの場合、そもそもCFOを必要としていないことが大半です。

レイターステージになってくると、すでにそのスタートアップで資金調達を回しているようなCFOが存在しています。CFOの退職による後任探しの場合には、既に組織規模が大きくCFOロールの難易度が高かったり、上場間近で上場後を見据えた資本市場との対話が得意なCFO経験者を探しているなどが想定され、未経験者がポテンシャル採用される可能性はゼロに近いです。

それでは、どのようにして、「シリーズAからシリーズBくらいで、CFOを探し始めたスタートアップ」にピンポイントであたることができるのでしょうか?

スタートアップに強い転職エージェントか転職サイトを活用する

ズバリ、専門家のサポートを得るのが最も効率が良いです。

スタートアップ企業にしっかりと食い込んでいて、CFOというキーポジションの採用が始まるという鮮度の高い情報をおさえているような、スタートアップに強い転職エージェントや転職サイトを活用することを推奨します。

転職エージェントを活用することのメリットとして以下が挙げられます。

  • 情報収集コストの節約:転職エージェント側でフィルタをかけて、「シリーズAからシリーズBくらいで、未経験者であってもCFO候補としてポテンシャル採用をしうるスタートアップ」を選定してくれる
  • 調整コストの節約:複数のスタートアップ企業に応募をする際などに、面接対応が可能な日程候補を複数預けておけば、うまく日程調整をしてくれる
  • 心理的コストの節約:面接が順調に進んでいった場合、入社の条件交渉のフェーズに入ってきます。年収、ストックオプション、職位など、自分からは交渉をしにくいようなトピックについても、エージェントを通すことで交渉をする心理的負荷が下がります。また、スタートアッププロトコルに合わせてうまい妥結点を提案してくれます(例:シリーズA/BのスタートアップCxOの年収水準等を踏まえて)

デメリットという観点では、転職エージェントは無料で活用できますので、むしろ、自力でやろうとすると圧倒的に効率が悪いので、エージェントを使わない理由を見つけるのが難しいくらいです。

唯一あるとすると、もし、スタートアップ経営者やベンチャーキャピタルに知り合いが多いという特殊な読者の場合には、エージェントを通さずに知人紹介をしてもらう形のほうが良い要素もあります。

エージェントを通すと、スタートアップ企業側に手数料負担が発生するため、スタートアップ企業としては節約ができるのは嬉しいですね。ただし、究極的には、スタートアップは、手数料を払ってでも良いCFOを採用したいと考えているというのは前提にあります。

さすがにスタートアップ界隈に近しい知人がいるというケースは多くないと思いますので、そんな読者に向けて、スタートアップ転職時におすすめの転職エージェントやサイトはこちらで厳選していますので、参考にしてみてください。CFO仲間が増えることを祈っています!

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